頭痛の種類について
頭痛と言えば「片頭痛」が有名ですが、他にも「緊張型頭痛」や「群発頭痛」など様々な種類の頭痛があります。
片頭痛と緊張型頭痛の両方を持っている方(多くは女性)は非常に多く、二つの頭痛を一種類の鎮痛薬で追いかけていると嵌まる恐れがあるのが「薬物乱用頭痛」です。
薬物乱用頭痛に至らないためにも是非、ご自身の頭痛のタイプを把握しておきましょう。
頭痛の種類
緊張型頭痛
「こめかみや肩、首が重く締め付けられるように痛い」と表現される、最も多い頭痛です。肩こり持ちの方に多く認めます。ロキソニンやイブプロフェンなど一般的な鎮痛薬が効果的ですが、乱用(使いすぎ)には要注意です。自律神経を整えるスーパーライザー(近赤外線照射装置)が効果的です。
片頭痛
思春期から20代にかけて始まる、「脈打つような頭痛で吐き気を伴い、動くと悪化して寝込んでしまう」と表現されることの多い頭痛です。閃輝暗点という視覚前兆を伴うことがあります。トリプタンと呼ばれる専用薬があり、約60~70%の方が薬の効果を実感出来るようです。
群発頭痛
厳密に片側だけで、目の奥がえぐられるような頭痛が2~4週間ほど連日続き終わっていく頭痛です。男性に多く、喫煙や飲酒で誘発されることが多いのが特徴です。片頭痛に準じた治療が行われます。
天気頭痛(天気痛)
「雨が降る前に痛みだす」と表現されます。漢方薬の五苓散がお勧めです。
スマホアプリ「ウェザーニュース」などで天候のチェックが出来ますので、是非ご利用下さい。
鉄欠乏性頭痛
鉄分不足で頭痛がする、または頭痛の頻度が増えることがあります。偏食傾向にある人、疲れやすく立ちくらみがある人、生理のある年代の女性は鉄不足になっていることがありますので、「フェリチン」を含めた血液検査を受けてみることをお勧めします。
神経痛
頭皮や顔面、頚部の感覚を支配している神経が敏感になって起きます。
「ズキン!と電気が走るような」とか「ピリピリ・ビリビリ」などと表現されることが多いです。ほとんどは様子をみている間に治まりますが、薬をご希望の方にはビタミン剤のメチコバールや鎮痛剤のロキソニン、神経痛専用薬リリカやテグレトール、漢方薬の五苓散などを処方しています。
薬物乱用頭痛
1ヶ月間で15回以上鎮痛薬を服用している状態が3ヶ月以上続いているが頭痛が改善しない場合、鎮痛薬の飲み過ぎによる「薬物乱用頭痛」を起こしている可能性があります。予防薬を飲みながら鎮痛剤を減らす工夫が必要です。
☆頭痛治療の基本となるのは生活習慣の改善です。片頭痛の人は、チョコレートやチーズ、ワイン、人工甘味料や化学調味料は控え、炭水化物の食べ過ぎに注意しましょう。緊張型頭痛の人は、普段の姿勢やスマートフォンの見過ぎ、運動不足や睡眠不足に気をつけましょう。「肩こり注射(自由診療で行っているビタミンや抗酸化物質の静脈注射)」もお勧めです。
その他の頭痛
ちょっと変わったタイプの頭痛もありますのでご紹介します。なお、女性ホルモンのバランスが崩れ頭痛が悪化している更年期の女性は、ホルモン補充療法やプラセンタ注射で頭痛が軽快することがあります。
飛行機頭痛
飛行機の上昇または下降中に突然始まる、平均持続時間は20分ほどで片眼の奥がえぐられるように痛む頭痛です。
対処法として、片頭痛薬トリプタンや漢方薬五苓散の内服が有効なことがあります。
グルタミン酸ナトリウム誘発頭痛(中華料理店症候群)
味の素などに含まれる化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)で誘発される頭痛です。
化学調味料が使われた特定の食事の後に必ず頭痛が起きるようであれば、避けるのが賢明です。
労作性頭痛
「重いものを瞬間的に持ち上げる・排便でいきむ・性行為」などの動作・運動で発症する頭痛です。
持続時間は数十分から数時間。頭蓋内圧(頭蓋骨の中の圧力)の亢進が原因と考えられています。
「重いものを持ち上げた瞬間、ブチッと音を感じた」という方の場合、それは頭の中の血管ではなく、後頭部の筋肉の筋繊維が一部断裂を起こして音を感じたと考えられます。時間が薬である場合がほとんどです。対処法は、事前のロキソプロフェンやインドメタシンなどの鎮痛薬内服や、冷却などが適しています。
睡眠時頭痛
入眠後3時間ほどで、前頭部を中心とした鈍痛で目覚める頭痛で、中年以降で発生することの多い頭痛です。
対処法は、就寝前のコーヒー(睡眠悪化には注意)、安定剤服用、気分調整薬(リーマス)の眠前内服などです。
一次性咳嗽性頭痛
咳やくしゃみによって誘発される、高等部を中心とした数分から数時間持続する頭痛です。40歳以上の男性に多いとされています。
咳によって神経伝達物質アセチルコリンが分泌され血管が拡張して頭痛が起こると考えられており、吐き気やめまい、睡眠障害を伴うこともあります。
対処法はインドメタシンの内服です。
うつ病からの頭痛
頭痛以外に、不眠や食欲低下、意欲の低下、朝の辛さなどがあれば、うつ病の可能性があります。
ストレス性に緊張型頭痛が合併していることはありますが、鎮痛薬が無効のことも多いため、環境調整と抗うつ薬による治療が基本となります。