カラードプラとパワードプラ (前編)【画像診断シリーズ9】
皆様こんにちは
今回の画像診断シリーズは、超音波検査に使われる「カラードプラとパワードプラ」について
当院でも腹部や頸動脈などの超音波検査を行っていますが、自分の復習も兼ねてこのテーマについて
勉強していきましょう
【ドプラ法】
超音波検査の診断には、Bモードによる形態的な情報に加えて、ドプラモードによる血行動態の
評価も取り入れられています。ドプラ検査は、血行動態をリアルタイムに、そして無侵襲に観察
することが可能で、カラードプラ法とパワードプラ法の検査情報を加えれば診断能は飛躍的に
向上します。
【ドプラ効果】
物体が遠ざかっていく場合や近づいてくる場合、その物体から発生する音の波長が変化する現象。
パトカーや救急車が近づいてくるとサイレンが高く聞こえ、通り過ぎると低い音に変化する、
この現象である。この周波数(ドプラ偏位周波数)は超音波のビーム方向と血流方向とがなす
角度に依存している。
【ドプラの公式】
ビーム入射角度θは、超音波像をみながらダイアルによりドプラ角度の補正を設定する。
このドプラの角度補正は、60度を超えると速度換算誤差が急激に増加するので、
検査時にはプローブの位置やスキャン方向を変えて血管とドプラビームとの角度を
60度以内とする。
【血流表示する際に配慮すべき設定事項】
カラードプラ表示はBモード画像に血流情報を重ねて表示している。血流表示における
装置の設定事項はBモードの設定事項とは分けて考える必要がある。
Bモード表示する際に配慮すべき装置の設定事項には、
①ダイナミックレンジ
②ゲイン
③STC(Sensitivity Time Control)
④フォーカス
⑤周波数
などがある。
ダイナミックレンジは画像の諧調-画像の濃淡の段階を決めるものであり、
狭いと画像が粗く、広いとスムーズにのっぺりとした感じに表示される。(図1)
ゲインは画像全体の明るさを決めるもので、低いと不鮮明となり、高いと
明るくノイズが多い画像となる。(図2)
STCは深さによるエコーの減衰を補正・調整し、画像全体のエコー輝度を
一定にすることを可能とする機能である。
(図1)ダイナミックレンジの違いと画像
DR:42
DR:51DR:63DR:74
ダイナミックレンジが狭いとDR42の画像のように粗く、広いとDR74の画像のように
スムーズだがのっぺりとした画像になります。
(図2)ゲインの違いと画像
G:60
G:70G:80
ゲインが低いとG60の画像のように暗く不鮮明、高いとG80の画像のように明るくノイズの多い画像
となります。
(図3)フォーカスの違いと画像
F:浅め
F:真ん中F:深め
フォーカスが浅いと深部組織が暗く見えづらくなり、深すぎると浅い組織が不鮮明になります。
放射線技師 武宮 太
【参考書籍】
超音波医学雑誌 2017年 第44巻 3号
日超検 腹部超音波検査テキスト 第2版