大腿骨頚部骨折【画像診断シリーズ10】
皆さまこんにちは
今回の画像診断シリーズは、【大腿骨頚部骨折】
ちなみに大腿骨はココ
(ポンパレモールより引用)
赤で囲ったところが大腿骨になりますが、右と左にあります
ここで専門的な話しになりますが、通常、大腿骨頚部骨折を疑う場合は
股関節の撮影法に準じます。
両方の股関節が入る正面像と大腿骨の頚部がわかりやすい軸位像が一般的でしょうか。
当院で股関節のレントゲンを撮る場合、正面像と軸位像ではなく正面像とラウエンシュタインと
いう撮影方法になります。
施設によって環境は様々ですので施設に適した撮影方法をチョイスすればよいと思います。
当院においての症例を1例
83歳女性
昨晩、駐車場にて転倒し左膝をついた後、左側に倒れた。
その後自宅まで歩行できていたが、今朝になって左股関節を痛がるとの事。
もともと左股関節痛の訴えはあった。
左大転子部の圧痛を認め、X線撮影時、仰臥位をとると左下肢は外旋していた。
左大腿骨頚部骨折疑いにてX-p撮影。
(股関節正面のX線画像)
(左股関節のX線画像(ラウエンシュタイン))
どうでしょう?
骨折ありそうですか?
一般的には股関節2方向のレントゲンは
1.股関節正面
2.股関節軸位
を撮影する施設が多いかもしれません。
それは、股関節軸位の方が大腿骨頚部を明瞭に観察できるからです。
当院では、一般撮影装置がモノレール式のため物理的に股関節軸位像が
撮れないためラウエンシュタイン法で撮影しています。
撮影したX線画像で、骨折はっきりしませんが骨折を強く疑うため
整形外科に紹介し、MRIを撮影。
その画像がこちら。
(STIR 冠状断)
(T1WI 冠状断)
骨折がありますが、どこかわかりますか
そうですね
左大腿骨転子部に骨折がありますね
転位もないため保存的に経過観察ということでした。
あとで大腿骨のX線写真を見直しましたが、骨折のあることが分かっていても
骨折線の指摘は難しいでした
もちろん、なんとなくこれかなぁ~くらいはわかりますが・・・。
股関節の場合、X線写真で指摘し得ない大腿骨頚部骨折は稀ではありません。
痛みや身体所見などから骨折を疑う場合は、CT検査やMRI検査まで追加すると
X線写真ではわかりにくい骨折も指摘できます
放射線技師 武宮 太