【画像診断シリーズ 1】頭部CTで皮下血腫は?
こんにちは、放射線技師の武宮です。
今回より画像診断シリーズと題し、CTやレントゲン、超音波(エコー)など画像診断に関わる
情報を発信していきたいと思います(^ ^)
第1回目は、頭部CTで皮下血腫がどのように写るのか紹介したいと思います。
早速ですが、CTの画像をご覧下さい。
- CTの白、黒について
CTで白く見えるのは、骨や石灰化、出血などです。
CT画像は「CT値」と言われるものが、すべての組織に振り分けられますが、
水を基準の0として 1000〜-1000の値で表現しています。
ここから基礎的なややこしい話しになりますが・・・
CT値の高い 1000で白く、低い-1000で黒くなるように表示されます。
1000〜-1000をどのように決定しているかといいますと、X線の吸収の差を利用しています。
骨や歯など石灰化組織のCT値は 500などと高く、血腫など血液のCT値は
おおよそ 60〜 80となっています。
- 主な臓器のCT値
骨/石灰化 80~1000 血液 60~80 軟部組織 28~60 水 0 脂肪 -100 空気 -1000
上の画像の皮下血腫のCT値を実際に測ってみると、CT値 68でした。
CTは白と黒の濃度差で表され超音波、MRI、CR(レントゲン)の画像表示にも用いられています。
また、レントゲンと同じでX線を使用しますのでCT検査には被ばくが伴います。
- CTとMRIの違い
似たような筒の中に入る検査なのでよくMRIと混同されますが・・・
CTはComputed Tomographyの略でX線を使用します。ですから撮影をする部位に
金属を身に付けているとアーチファクトと呼ばれる画像を乱す要因となります。
しかし、撮影範囲外であれば金属を身に付けていても画像には影響ありません。
例えば、頭のCTを撮る場合、頭部にヘアピンやメガネなど身に付けているといけませんが、
腕時計など撮影範囲外であれば問題ありません。
MRIはMagnetic Resonance Imagingの略でMagnetとあるくらいですから磁石を利用して
検査を行います。ですから頭部の撮影の場合でも部位に関係なく全ての撮影において金属(磁性体)
を持ち込むと強力な磁場によって引っ張られ大事故に繋がるので要注意です。
磁石にくっつく磁性体はもちろんですが、磁石にくっつかない非磁性体の場合も熱を持つ
可能性も否定はできませんのでこちらも要注意です。
(ちなみに当院にMRIはありませんので、ご了承下さい)
- 最後に・・・
頭をぶつけた時に皮下血腫いわゆるタンコブができますが、
抗凝固薬(血液サラサラのお薬)などを服用されている場合は
血が止まりにくくなっていますので少しの皮下血腫でも大きく広がる場合もあります。
ご注意を。
(写真等は、臨床画像、インナービジョンより引用)
《次回予告》
慢性硬膜下血腫と頭部打撲時の注意点について
放射線技師 武宮 太