【勉強シリーズ】高齢者の運転免許更新について
皆さんこんにちは
ご存知の方は多いと思いますが、平成29年3月12日に道路交通法の一部改正が施行されます。
主な内容としては『高齢運転者対策の規定の整備』でわかりやすく言いますと、認知症の疑いのある高齢者から運転免許を取り上げていこうという考えです
マスコミでは高齢者による事故が年々増加していると毎日のように高齢者による事故をテレビで取り上げていますが、果たして本当に高齢者による事故が最も多いのでしょうか?
色々と調べてみるとそうでも無い事がわかってきました。平成24年の65歳以上のドライバーの交通事故件数は10万2997件で10年前の平成14年は8万3058件です。約1.7倍増えています。これだけを見ると確かに増えていると思ってしまいますが、しかし65歳以上の免許保有者数は平成14年が826万、平成24年が1421万と約1.7倍なのです。すなわち、ドライバーの増加と比較してもそれほど事故件数は増えていないのです事故件数全体の約17%に相当します。
だからと言って高齢者の運転は安心とは一概に言えませんが・・・
今回の法改正により、鹿児島では約1500人が対象になるようです。まとめたリーフレットを見つけたので下記へ添付します
今回の改正により今まで70歳以上の免許更新時の高齢者講習が厳しくなります。具体的に今までは、最初の認知機能検査(①日時見当識 ②記憶力 ③時計描画)の結果により3分類に振り分けら、2.5時間の講習を受ければ免許更新ができており、第1分類の方のみはその後、一定の違反を起こした場合は臨時適性検査(医者の診察)を受けてもらい認知症の診断がでると免許取り消し処分となっていました。が
今後は、第1分類に該当した方は違反の有無を問わず医師の診断(適性検査や診断書)が必要になり、認知症の診断がおりると免許取り消し・停止となり、認知症でなければ免許継続。また、第2,3分類の方は2時間もしくは3時間の講習を受けて免許更新を行い、その後、特定の違反行為があった場合は臨時認知機能検査を行い結果に応じて講習又は医師の診断を受けなくてはなりません(中々、面倒ですね)
第1分類:認知症のおそれあり
第2分類:認知機能低下のおそれあり
第3分類:認知機能低下のおそれなし
当院院長も1月に鹿児島県警と医師会が行った『道路交通法改正に伴う診断書記載に関する説明会』に参加しました。
今後、当院にも免許更新に伴う認知機能検査や診断書作成依頼や相談があるかもしれませんので、スタッフ全員で勉強もしております。認知機能の低下により事故を起こす危険のある方に対しては診断書の作成など已む得ない状況もあると思います。当院で運転能力の参考としている検査の一つに図形描写があります。これによって視空間認知能力の程度を見ていきます。これが上手く書けなくなってくると距離感がつかめなくなったり迷子になりやすくなります。
当院に来られている患者さんの家族の中にも、ご家族の運転が危なくてもう辞めさせたいと心配される方は多くいらっしゃいます。
診断書一枚で免許証の取り消しは可能になります。しかし、特に男性は車の運転は誇りとして長年されてきている方が多いと思います。地域によっては車がないととても不便な地域もあります。何の準備をしないで免許を取り上げてしまうと、混乱や怒り又は、意欲を失うことも考えられます。運転が難しくなってきたな~と感じたら、免許を返していく準備を始めていくことが大事だと思います。今まで車を利用して行ってきたことを車に代わる手段を見つけることです。ご家族の協力もその一つですが、介護サービスにも色々な手段があります。例えば訪問介護による買い物や、介護タクシー、宅配サービス、通所サービス、シルバーサービスなど様々な社会資源を活用することで車を使用しなくても生活の質を維持することは可能だと思います。
お困りのことは当院へご相談くださいませ。一緒に解決方法を考えていきましょう。 看護師 唐仁原
院長の認知症ブログでも運転免許に関する記事がありますので是非ご覧ください。
https://www.ninchi-shou.com/entry/elders-driving-license
https://www.ninchi-shou.com/entry/annoying-Law-amendment